昭和55年(1980)
5.エネルギー基地建設に本腰 (昭和55年2月)
オイルショック以降、政府はエネルギーの長期にわたる安定的供給を重要施策に掲げ、石油備蓄や石炭火力発電所等の建設を推進していた。このような現状を踏まえて、本所は昭和55年2月、委員会規則を改正、造船不況対策特別委員会を改組する形で「エネルギー対策特別委員会(安達倉三委員長)」を設置、国のエネルギー関係大型プロジェクトの推進をはかることになった。
当時の県内のエネルギー関係の大型プロジェクトは、西海石油備蓄基地、上五島洋上石油備蓄基地、福島町LPG基地、橘湾タンカー備蓄、神ノ島LPG基地、松島火力発電所、松浦火力発電所など。このうち、橘湾タンカー備蓄が既に稼動中で松島火力発電所が56年1月運転を開始したが、他のプロジェクトも積極的推進を図ろうと同委員会は支援的立場でそれらの実現に中央官庁、政党などへの働きかけを進めた。これらプロジェクトの建設工事の波及効果はもちろん、資源に乏しいわが国にとってエネルギー基地の建設は国家的課題でもあり、同委員会を中心に県内各商工会議所へも協力を求めた。
6.珠算検定100回目を迎える (昭和55年10月)
本所が日本商工会議所と共催で実施している珠算能力検定試験が昭和55年10月の検定で100回目を迎えた。記念事業として受験者にメダルを贈ったほか、功労者を表彰した。
検定試験は昭和19年11月スタートし、珠算技術の普及と能力向上、優秀人材育成に大きく貢献してきた。全国の受験者は当初41,000人だったが、昭和54年度には約480,000人が受験した。検定は4級以下は暗算とともに偶数月に、3級以上は段位認定試験とともに年3回実施されている。
7.福州市代表団と経済問題懇談会開催 (昭和55年10月)
昭和55年10月、本所は長崎-福州両市の姉妹都市締結調印のために来崎中の中国福州市代表団(団長・遊徳馨福州市長)を迎え、経済問題懇談会を開き、両市の経済交流について協議した。姉妹の縁結びを機会に両市の経済事情や対外貿易について相互理解を深め、今後の経済交流促進を図ろうとの狙い。
懇談会には、福州側から伊光武副市長ら8人、長崎側から松田皜一、川添清次両副会頭はじめ、本島市長、野田卿県経済部長らが出席。両市の経済事情について、福州市対外貿易局の盛鶴群局長、長崎市商工部の畑島慎夫部長が説明を行ない、引き続き対中貿易の現状や方法、相互の経済情報などについて質疑を交わし、今後の交流促進を確認し合った。
この中で福州側は、福建省に経済特区の設置が進んでいる状況を踏まえ、そのメリットを生かしながら姉妹市である長崎との貿易を最優先に考えていることを強調、経済交流に対する積極的姿勢を示した。懇談会を通じて、両市の今後の経済交流促進が一歩前進。水産研修生の長崎受け入れ、美術工芸品展示即売会開催などが決まったほか、経済取引窓口についても双方の実務レベルでの協議が始められることになった。